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help リーダーに追加 RSS 『ガリレオ』 第7話を観て。

<<   作成日時 : 2007/11/26 23:58   >>

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第7回の原作は、『予知夢』の第五章『予知る(しる)』。湯川によって真相が暴かれたあと、どうなったのか明示しない書き方になっています。

ドラマのほうはどうかというと、事件の形そのものはだいたい同じでありながら、物理学的トリックの部分を別にすると、まるっきり違うと言っていいほど真相が変えられるという、何とも不思議なことになっています。これは、今回のメインゲストである深田恭子をストーリーの中心に据え、彼女が演じる「静子」という役を、徹底した悪女キャラにしてしまおうという意図でなされたのだと思われますが、例によってこの変更にともなう矛盾点の発生は避けられなかったようです。

しかし、何より問題なのは、こういう悪女を演じさせるのに、あのフカキョンではイカにもタコにもミスキャストだ、ということ(w)。完全な棒読み口調+ロボットみたいな動きだった以前に比べれば、ずいぶんマトモにはなっていましたし、メイクや衣装の力にかなり助けられてもいましたが、そもそもキャラに合ってないために違和感ありまくりでした。ダンナの菅原氏(塚地武雅)のほうは、最初「えー、あの役に塚っちゃんかよ」と思ったんですが、こちらのほうは原作とキャラの性格が違うため、それほど問題はありませんでした。

これらの変更を具体的にみてみると、こういうことになります。まず、事件の首謀者が、菅原の愛人である瀬戸冬美(桜井千寿。原作での名は富由子)から、菅原の妻である静子に変えられた、というのが最大のポイント。また、菅原の立場が、「継続的な不倫を繰り返し、とうとう深みにはまってしまった中間管理職」から「非モテなのに美しい妻を得て、新婚なのに一夜限りの浮気をしてしまった企業経営者」に変えられ、愛人のほうは「静子に対抗心を燃やして菅原に強硬に離婚を迫り、自殺のフリをして菅原をおどかそうとするキャリアウーマン」から「静子の指示で一度だけ菅原と関係を持ち、その後の計画にも協力したあげく、殺されてしまうバカ女」に変えられています。

しかし、そうなると「冬美は、静子たちにどう説明されていたのか」という点が、非常に疑問なのです。冬美は、表面的には菅原と一回浮気しただけの女。相手に妻があって、しかもそれが金持ちの企業経営者だというのですから、脅迫すれば簡単に、大金を脅し取れるでしょう。ですから、彼女が静子たちの計画に協力するには、それ以上のメリットがなくてはおかしいことになります。当然、それはさらに大きな額のおカネだということになるでしょう。

彼女の立場にしてみると「一度浮気しただけの男に見せつけるように、首吊り自殺のマネをしてみせるだけで、なぜこんなにも高い報酬をもらえるのか」を考えないはずはありません。すると、「静子がこれによってうまく離婚できれば、財産分与や慰謝料で大金を手にできるから」と結論するのはたやすいですし、おそらく静子のほうも、冬美にそう説明していたのだと思われます。が、事件を起こしたその後の冬美はどうなるのでしょう。彼女は当然、自分が死ぬとは思っていなかったわけですから、菅原夫婦の離婚騒動の渦中に巻き込まれることを覚悟しなければならなかったはずです。

普通なら、冬美はこのシチュエーションにあって、こう考えるのではないでしょうか。「離婚騒動が起こったら、私は妻側を有利にする材料として使われる。ということは、ヘタをすれば自分の身辺も調べられ、静子との関係も判明してしまうかも知れない」。そもそも、静子が大金を彼女に渡せるとしても、それは離婚が成立したあとでなければ無理なはずで(静子が財産を持っているわけではないですからね)、冬美は当面、何の利益もなく荷担しなければならないのです。

離婚調停や裁判といった手続きには何年もかかる可能性だってありますし、それが長期に渡るほど、彼女にとってのリスクが大きくなるということを、全く考えもせずに協力するなんて、普通ではありえません。では静子がある程度、自分のおカネを動かせる立場にあったとして、冬美に早くからカネを渡せていたらどうでしょう。この場合は、さらにリスクが大きくなります。つまり、カネの流れを探ることによって、彼女たちの隠された関係が明るみに出る確率が、グンと高まるからです。なんといっても菅原は企業経営者。しっかりした弁護士との付き合いもあるでしょうし、彼が未練タップリだったのだとしても、弁護士は手抜きせずに、いろんなことを調べ上げたでしょうからね。

さて、事件そのものについても、静子に「細かいことが気になる」「一度気になったら自分で確かめないと気がすまない」という性格を付与し(そのわりには、湯川の適当な説明で納得してしまうところは不自然ですが)、携帯のテレビ電話を使った現場中継という、妙な要素を持ち込んだりしていて、さらにおかしなことになっています。だって、静子の立場にしてみれば、一番気になるのは首吊り現場の事後処理なんかより、夫である菅原の様子なんじゃないでしょうか。たとえば、菅原が「自分もやはり現場に行ってみよう」という気を起こし、装置などの後始末をしている最中の峰村(佐藤重幸)に出くわしたら、この計画はすべておじゃんになってしまいます。

また、危うい綱渡りがもう一つ。菅原の携帯に冬美がかけてきた電話は「非通知設定」になっていました。これ、もし菅原が非通知の着信拒否にしていたら、どうするつもりだったんでしょう。菅原が浮気相手からの後ろめたい電話に出る、ということが全てのきっかけになっているのですから、そこがうまくいかないと始まりません。事前に、静子が菅原の携帯の設定を変えておいた、という推測もできますが、菅原は妻に隠れていろいろやっているような男。パスワードくらい設定しているでしょう。また、仮に着信拒否を解除してあったとしても、「非通知の電話なんか、俺は出ない」とばかりに、無視されたらどうなるんでしょう。この一点だけでも、計画は破綻してしまうんですが……。

峰村は、栗林(渡辺いっけい)が黒板に書いた図によると、菅原の友人ということになっています(原作では、大学及び会社の後輩)。その峰村は、前もって冬美の部屋にあの仕掛けを持ち込み、首吊りが実行されたあとはまず最初に現場に駆けつけて、それらを始末する役割を果たしています。で、小さめのゴルフバッグのようなものをかついで現場に走るのですが、このマンションって、管理人は何をしているんでしょう。もちろん、オートロックだから細かく気を配る必要はない、ということなのかもしれません。しかし、変な荷物を持って全力疾走している彼の姿を、マンションの誰も目撃しないというのは幸運に過ぎやしないでしょうか。防犯カメラだってあるでしょうし。

こういうことを調べさえすれば、少なくともこの事件に疑惑を持つ人間なら、湯川などの力を借りなくても、真相に到達できたはずなんです。また、ちょっとしたことでも破綻する可能性がありました。だって、あんなにハッキリ隣のマンションが見えるのなら、菅原のマンション側の住人の中に別の目撃者がいてもおかしくないわけですから。つまり、この計画は穴だらけなんです。もともと、窓越しに隣のマンションの部屋で首吊りを目撃させるのが目的だとしたら、あんな大げさな仕掛けは必要ない(足もとまではハッキリ見えないでしょうから。逆に、そこまでちゃんと見えるのなら、例の仕掛けでバーが下がってしまうのも見えてしまう可能性があります)ですから、これは原作の欠陥だとも言えますけれど。

今回は「オカルティックな事件の要素を、科学的に解明する」という、このシリーズの基本コンセプトが薄くなってしまいました。代わりに、湯川や栗林、薫、そして弓削といったレギュラーキャラを立てることに力が注がれていたように思います。まあ、視聴率稼ぎにはこのほうが有効なんでしょうが、もっとスマートなやり方ができたのではないかと考えると、少々残念な脚本であったと言わざるを得ません。特にあの、ボクシングのシーンのマヌケなことといったら……。

※この記事はブログ村 ミステリー・推理小説にエントリーしています。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
初めまして。浅葱と申します。
TBさせていただきました。
私も原作を読んでいるのですが、あくまで「テレビドラマと小説は別物」だと思って見ています。
また遊びに来ます。今後ともよろしくお願いします。
浅葱
2007/11/27 17:48
はじめまして。コメントとTB、ありがとうございます。
こちらからもおじゃましますね。
原作と映像は別物だという考え方は、私も同じです。
脚本家の橋本忍なんか、「原作を脚本にすることに、レイプの快感を感じる」などと言ってるぐらいですし(w)。
でも私は、映像化のために原作をいじるなら、そこで生じるマイナスポイントを、極力減らすように努力するべきだと思ってるんです。
いつでもおいでください。こちらこそ、よろしくです。
のちんかん
2007/11/28 01:37

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