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zoom RSS 2008年1月のミステリ新刊

<<   作成日時 : 2007/12/30 23:59   >>

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1月の注目作は、何といっても中町信の新作長篇ですね。目立たない作家ですけど、折原一もリスペクトしている叙述トリックの遣い手です。

◎オースティン・フリーマン 『猿の肖像』(長崎出版)
『ペンローズ失踪事件』(長崎出版)よりさらにあと、フリーマンが75歳の1938年に発表された、ソーンダイク博士ものの第19長篇です。晩年の作とはいえ欧米での評価は高く、これを代表作とする評論家もいるほど。原著には猿の写真が挿入されているらしいのですが、それはちゃんと忠実に再現して欲しいですね。

◎エリオット・ポール 『不思議なミッキー・フィン』(河出書房新社)
若きディレッタント、「パリのアメリカ人」ホーマー・エヴァンズを探偵役とするユーモア・ミステリシリーズ第一弾。モンパルナスの芸術家たちを支援するアメリカの億万長者が失踪、やがて殺人事件に発展します。東京創元社からずいぶん前にシリーズ第2作『ルーヴルの怪事件』 が出ていますが、:現在は絶版。人気次第で順次邦訳予定のようです。

◎アリス・ミュリエル・ウィリアムスン 『灰色の女』(論創社)
黒岩涙香が翻案し、さらにそれを江戸川乱歩もアレンジした名作『幽霊塔』の原作。ミステリとメロドラマやゴシックロマンの境界がハッキリしてない時代の作品ですが、「首のない死体」ものの元祖的存在とされる大長篇であり、乱歩らの翻案ではかなりの部分がカットされているので、今回の刊行は初の完訳版ということになるでしょう。

◎アンナ・マクリーン 『ルイザと女相続人の謎』(創元推理文庫)
1854年のボストンを舞台にした歴史ミステリ。作家を目指す22歳のルイザ・メイ・オルコットは、親友の死に不審を感じ、ひそかに調査を始める。あの『若草物語』の著者を探偵役とした作品で、どうやらシリーズになっているようです。

◎中町信 『三幕の殺意』(創元クライム・クラブ)
ついに中町信の新作長篇がクライム・クラブから登場。これは期待してしまいますね。雪降りしきる尾瀬沼畔の山小屋の離れで、そこの住人が殺された。山小屋には、被害者に殺意を抱く複数の人間が宿泊していた……と、ベタな「雪の山荘」ものみたいな設定ですが、そこは中町ミステリ。一筋縄ではいかないはずです。

◎リレーミステリ 『吹雪の山荘 赤き死の影の下に』(創元クライム・クラブ)
刊行予定が1ヶ月ずれた模様。参加している作家は笠井潔・岩崎正吾・北村薫・若竹七海・法月綸太郎・巽昌章の6名。吹雪の年末、清沢郷の山荘に降り立つ、人気シリーズの名探偵、およびワトスン役たち。首なし死体の謎、呪われた山荘の呪縛を解くことができるか。

◎ジェイソン・グッドウィン 『イスタンブールの群狼』(ハヤカワ・ミステリ文庫)
アメリカ探偵作家クラブの最優秀長篇賞受賞作。1836年のイスタンブールが舞台です。近衛部隊の衛兵が相次いで失踪する事件が起き、やがて死体となって発見。第一の死体は大鍋に入れられ、第二の死体はの鯖にはスプーンが。それらは、かつて勇名を馳せたトルコ陸軍の最強軍団イエニチェリの団結のシンボルだったというのですが……。探偵役が宦官(かんがん)だという、珍しい設定のミステリです。

◎ギルバート・アデア  『ロジャー・マーガトロイドのしわざ』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
心理サスペンスの秀作『閉じた本』(東京創元社)で知られるイギリスの作家・評論家、ギルバート・アデアがミステリ界に一撃を加える超絶ミステリ。本格黄金期の1935年を舞台に、吹雪に閉ざされた山荘、密室、暗号……と、いかにもな道具立てながら、ミステリファンの予想を裏切る展開が待っているとのこと。このタイトル、「ロジャー・アクロイド」をもじってるんでしょうか。

◎ミステリー文学資料館編 『江戸川乱歩と13人の新青年 〈論理派〉編』(光文社文庫)
戦前はほぼミステリ専門誌であった雑誌「新青年」のアンソロジー。論理派というと限られてしまうでしょうが、「新青年」で活躍していた作家の多くは論創社が復刻してしまったので、どんなメンバーを取り上げるのか、ちょっと謎です。赤沼三郎とか橋本五郎あたりかなあ。

◎汀こるもの 『パラダイス・クローズド』 (講談社ノベルス)
第37回メフィスト賞受賞作。「探偵」と「死神」と呼ばれた最強かつ最凶の双子が、孤島の館で起きた密室殺人事件の謎に迫る……って、またクローズドサークルですか。それにしても変なペンネームですね。

◎輪渡颯介 『掘割で笑う女〜浪人左門あやかし指南〜』 (講談社ノベルス)
第38回メフィスト賞受賞作。本格時代劇と女の幽霊をめぐる怪死事件の謎解きが美しく融合した、モダンな時代物怪談ミステリー。かなりの筆力が要求されそうなシチュエーションですが、大丈夫かなあ。

このほか、密室殺人のマイルストーン、ガストン・ルルーの『黄色い部屋の謎』が創元推理文庫から新訳で登場予定。でもこれって、解散してしまった嶋中文庫版と訳者が同じなので、版元が変わっただけなのかも。フランスものの良い翻訳家がいるなら、訳して欲しい作品はたくさんあるんですけどねえ。綾辻行人の『十角館の殺人』は新装改訂版が文庫で出ましたが、来月は島田荘司の『占星術殺人事件』が「改訂完全版」と銘打って講談社ノベルスから出版されるようですね。今さらこういう形でリニューアルして、ちゃんと売れるもんなんでしょうか。ちょっと心配な気もします。

※この記事はブログ村 ミステリー・推理小説にエントリーしています。

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言及しておられるフリーマンの『猿の肖像』の写真をブログにアップしてありますので、よろしければご覧ください。
http://fuhchin.blog27.fc2.com/blog-category-3.html
フーチン64
2011/07/29 00:22

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