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zoom RSS ミステリマガジン 2008年3月号

<<   作成日時 : 2008/01/26 23:54   >>

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リニューアルから3号目、誌面には安定感が出てきたミステリマガジンなんですが……。これはひどい。ちょっとあんまりじゃないでしょうか。

何がひどいって、それは写真です。前にも書きましたが、この雑誌はインタヴュー記事を掲載するときなど、ちゃんとしたプロのカメラマンを使っていないようで、どうひいき目に見ても、ポートレートを撮る能力を持っているとは思えない編集スタッフが、カメラマンを兼務しているようなのです。以前はカラーページが少なかったので、あまりアラが目立たなかったんですが、リニューアル後は巻頭にカラーのコーナーがいくつかできて、無惨な写真が散りばめられる結果になっています。そして今回、特にひどいのが、ミステリ作家へのインタヴュー企画「迷宮解体新書」に登場した、岸田るり子のポートレートなのです。

もし、書店でこの3月号を見かける機会があったら、ぜひご覧になってみてください。8ページの下段です。この写真、レフ板も使わずに強いフラッシュを使ったせいで、ピカソの描いた肖像画みたいになってるんです。普通、狙ったってこんな写真はなかなか撮れませんから、わざとやったんならある意味、天才的です。そりゃ、岸田さんは特に美しい女性とは言えないかもしれませんが……。『密室の鎮魂歌』(東京創元社)の口絵ページに、彼女のマトモな写真がありますから、見比べてみれば良くわかるでしょう。良くOKが出たなあ。色校、ちゃんと見せてるのかしらん。もし、ファックス送って済ましてるなら、見本誌を見てご本人が怒り狂うのではないかと想像されます。

さて、気を取り直して本誌を見てみましょう。今回の特集は「海外ミステリ・ドラマに釘付け」となっています。一時のように、地上波でゴールデンタイムに海外ドラマをバンバン流していた時代は過ぎ去ってしまいましたが、CSやBSでは実にさまざまな番組が放映されており、その中に占めているミステリ系ドラマの割合は非常に高く、人気もありますから、時宜を捉えた好企画にできるネタです。そして巻頭には、企画意図についてこう書かれています。

ちょっと引用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
たとえミーハーと謗られようとも、テレビスターに夢中だ。ホームズ、ポアロは、ジェレミー・ブレットとデビッド・スーシェのイメージだし、コロンボごっこやヒッチコックごっこはお手のもの。最近ではジャック・バウアーの真似をして携帯に出たり、ホレイショっぽくサングラスを掛けたり、ふと気づけば、世間は海外ミステリ・ドラマ・ブーム。はやるミーハー心を抑えつつ、本誌なりに海外ミステリ・ドラマの魅力に迫ってみたい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・引用ここまで

こんなふうに書かれていれば、どんな新鮮な切り口なのかと期待してしまいますが……実際にはお粗末きわまりない特集ページでした。前号の特集「親子で愉しむジュヴナイル・ミステリ」はなかなか充実していたのに、この落差は何なんでしょう。たまたま、デイヴィッド・カルーソとロブソン・グリーンという、2人のミステリドラマ主演俳優が来日したことをきっかけに、思いつきで適当に作った企画としか思えません。この2人のインタヴューページはそれなりに面白かったですが、内容はまさに、ミーハーファン向けのようなもの。

特集にくくられた短篇は3本。リー・ゴールドバーグの『ジャック・ウェッブの星』、リンダ・ラ・プラントの『魂の調教師』、アビー・マンの『教師コジャック』です。このほか、大倉崇裕と若竹七海の2人が、それぞれ「CSI:科学捜査班」シリーズについて書き、小山正の「海外ミステリTVノベライズ渉猟記」、木村二郎の「名探偵モンク、心臓を置き去りにする?」と併せて4本のエッセイが収録されています。あとは、編集部によるドラマのノヴェライズ本ガイドページ(これはちょっと役立ちそう)、そして「24」の鑑賞マラソンという、愚にもつかないページ。質量ともに、ガッカリするばかりです。

リー・ゴールドバーグは、プロデューサーや脚本家として活動している人。「Dr.マーク・スローン」の脚本を多数書いていているほか、「名探偵モンク」の脚本や、最近邦訳されたノヴェライズ本『モンク、消防署へ行く』(ソフトバンク文庫)も執筆しています。『ジャック・ウェッブの星』は、1950〜60年代にアメリカで非常に人気のあったドラマ「ドラグネット」の主演・監督・脚本をつとめていたジャック・ウェッブをネタにしたクライム・ストーリーです。

ある中年男が主人公で、冷えきった妻がなぜかウェッブに欲情するという、妙な性癖を持っていることから、ハリウッドのウォーク・オヴ・フェイム(名声の歩道)に埋め込まれたウェッブの星を盗みだそうとする、というようなお話ですが、あいにく「ドラグネット」って日本ではあまり人気が出ませんでしたし、そもそもこの短篇はドラマと特にリンクしているわけでもありません。まあまあ気の利いたオチにはなっていましたが、特集ページで一番分量が多いのがこれでは、あとは推して知るべし、という感じ。

次のリンダ・ラ・プラントは、ヘレン・ミレン主演で地味に人気のある「第一容疑者」シリーズの原作者で、脚本も彼女が書いています。『魂の調教師』は、「第一容疑者3」の中の一場面を切り取ったような作品で、ほとんど説明もなく始まり、唐突に終わってしまう短いもの。このドラマを観ていないとイマイチわかりにくい内容です。ドラマのほうのファンなら、おなじみのヒロイン、テニスン警部の心理描写を楽しめるでしょう。ただ、これだけをポンと出されてもねえ。

最後のアビー・マンは、「刑事コジャック」の脚本をいくつか手がけている作家。“ニューヨーク怒りの用心棒”コジャックは、上記の「ドラグネット」や「第一容疑者」に比べれば遙かに知名度が高いですから、説明は不要でしょう。アメリカでも、2005年に30年ぶりのリメイクが放映されたぐらいですから、いまだに根強い人気があるんでしょうね(リメイクはコケたようですが)。私も大好きで、よく観ていました。最近のミステリなどでも、ヒーロー的人物がペロペロキャンデーを舐めるシーンが描かれていることがたまにありますが、そのはしりはコジャックじゃないでしょうか。

『教師コジャック』は、シーズン1の第13話「警察を笑う殺し屋」の冒頭にある、コジャックが犯罪学講座の臨時教師をすることになった場面を発展させた外伝的小説。ドラマを観ていなくても楽しめますが、コジャックのキャラクターを知っている人はニヤニヤしながら読める作品です。コジャックの一人称で書かれているので、私なんぞは頭の中で森山周一郎の声が鳴り響いてしまいました(w)。ドラマ的でありながら、ミステリとしてもちゃんとしていて、今回の掲載短篇ではピカイチの出来映えです。

さて、結局こんなふうに特集ページがつまらないのは、長篇連載が多すぎるからだということを、編集部のスタッフは自覚してるんじゃないかと思われてならない今日この頃です。前号の充実は、長篇3本のうち2本が休載だったから、というのが最大の理由でしょう。そりゃ、編集部としては長篇でページを稼ぐのが一番楽でしょうが、長い目で見れば、こういうやり方が自分の首を絞める結果にしかならないということを、もっと認識すべきでしょう。これが普通の小説誌なら、連載も否定しません。でもミステリ誌の場合は、多くの読者が「連載が終わってからまとめて読もう」と思ってるんじゃないでしょうか。数ヶ月にもわたって掲載されると、細かな伏線なんて忘れてしまいますからね。それじゃ、読者だけでなく作者にとっても不幸だと思います。

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