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ハードボイルドという言葉、アメリカでは、すでに使われなくなってるんだそうです。ということは、これって日本人向きの概念だったのかも。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「寝室」 男女の間に友情は成立するか、なんて青くさい命題を、いまさら考えたいとは思わない。 そんなもの、考えなくてもわかっている。それが成立するのは、男が女に、女としての魅力を感じていない場合だけさ。 だが。 失敗に同情してくれるのは、本当の友ではない。成功を喜んでくれてこそ、真の友だ。 なぜって? 失敗を聞いて駆けつけてくれる友の目には、かすかな喜びの色がある。 「残念だったな。でも、またチャンスはやってくるさ。元気出せよ」 そんなことをわざわざ言いにやって来るのは、その目で「失敗した男」を確かめたいからだ。 こんなヤツに限って、態度も言葉もなれなれしい。肩をたたき合えば友だというのなら、友などいくらでもできる。 彼女が、俺が会社でしでかした失敗に同情してくれたとき、俺にはそのことがわかっていなかった。 彼女の目の中の、かすかな喜びの色に、気づいていなかったのだ。 たぶん、そのせいで俺は彼女に惚れたような気がしたのだろうと思う。 彼女は俺のタイプじゃなかった。なのに、結婚までしてしまった。 それは彼女が女だったからだ。男じゃなかったからだ。 俺はすぐに愛人を作った。 「妻とはいずれ別れる。そしたら、結婚しよう」 おきまりの、そんな言葉を口にした。 そして何年か、中途半端な月日が流れた。 やがて愛人は、その中途半端な状態に耐えられなくなったようだ。 ある日、俺の留守を狙って、妻を訪ねてきたのだ。 「離婚なさるって、ほんとうでしょうか」 そのセリフを聴いて、妻はこう答えたらしい。 「あなた、騙されているだけよ」 「彼、妻とはずっと寝室が別なんだ、もう夫婦とはいえない、と言ってましたわ」 「そんなことはありませんわ。夫婦ですもの」 妻は、愛人の存在に、うすうす気づいていたのだろう。彼女が訪ねてきた時の会話を、俺に淡々と語った。 怒りの色を見せるでもなく。 「夫婦ですもの」だって? 夫婦だから、寝室が一緒なのか。 では寝室が別々だったら、夫婦じゃないってことになるのか? なら、俺とお前は夫婦じゃないよな。 妻の口から語られた愛人との会話が、実際に交わされた通りだったのかは、よくわからない。 だけど、これだけは言える。 2人とも、俺のことを理解してない。 俺が愛人に「妻とはずっと寝室が別なんだ。もう夫婦とはいえない」なんて、言うはずがないじゃないか。 そんなことを言ったら、妻と別れて愛人と結婚したとき、今度は愛人と寝室を一緒にしなければならなくなるじゃないか。 俺はひとりで眠りたいんだ。 《了》 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ え? これのどこがハードボイルドなんだって? ……あまり深く考えないでください。 それより、気が向いたらポチッと応援クリックをお願いします。 |
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こんばんは。ハードボイルドな独白スタイルですねぇ。彼の思考経路がめっちゃ自分と似てたので面白かったです。オチの台詞もズバリでした(笑)のちんかんさん自身の心の叫びだったりして・・・w |
レイバック 2008/01/07 00:22 |
ははは(乾いた笑い)。私はいい歳こいて独身ですし、結婚経験もないので、女性と同じベッドで眠ったことは数えるほどしかありません。しかも普段は、布団も敷かずにフローリングの上に直接寝ているので、その習慣を続けるなら、結婚しても一緒には寝られないでしょうね。 |
のちんかん 2008/01/07 08:53 |
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