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help RSS ミステリマガジン 2007年9月号

<<   作成日時 : 2007/07/29 23:55   >>

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9月号の特集は、「本に殺されるなら本望」。何だかよくわからないタイトルですが、要するにビブリオ・ミステリの特集ってことのようです。

海外ミステリ専門誌だった『EQ』が、本家『EQMM』との契約上の問題から休刊を余儀なくされ、コンセプトも変わって『ジャーロ』になってしまったときから、『ミステリマガジン』はこのジャンルで唯一の存在になったわけですが、競争相手がいなくなってからの質的な低下は最近、とみに激しいような気がします。今回も、8月号について書いたときと、ほとんど同じような言葉が当てはまってしまうので、もう書くまいかとも思ったのですが……。

まあ今回は、特集ページに小説ゼロ、ではありませんでした。でも、載っているのはルース・レンデルの中篇『ブリタニカ第八巻』の1本きり。しかし、この作品はなかなかのものでした。“偏執狂的な執拗さで、誤字や語法・文法の間違い、文章の盗用といったものにこだわる男”を主人公に、これだけ不気味な物語を書けるのはさすがです。読んで頭に浮かんだのは、この男に『リアル鬼ごっこ』や『翼ある闇』を読ませたらどうなるんだろうという妄想でした(w)。

ですが、良かったのはそこまで。特集ページに掲載されているのは、短いエッセイが3本、“創作集団 逆密室”によるビブリオ・ミステリのブックガイドが6ページ、ジョン・ダニングの新作『災いの古書』とマークース・スーザックの『本泥棒』のレヴューが各1ページ。そして、モンティ・パイソンの文学系パロディの翻訳が5ページ。以上で特集の全てでした。

エッセイのうち、紀田順一郎の『古本屋探偵の誕生と死』は面白かったのですが、小路幸也による『BOOKLOVER'S LONGDIARY』はタイトル通り、ブログに書く程度の内容で、これで原稿料もらっていいのか、というシロモノ。“逆密室”のブックガイドは定番作品ばかりのラインナップで、そもそもビブリオ・ミステリを読んで楽しめるような読者には、落ち穂拾い的な意味しかありません。エリザベス・デイリイの『二巻の殺人』が入ってないのは品切れ中だからなんでしょうか。個人的に、究極のビブリオ・ミステリは法月綸太郎の短編『緑の扉は危険』だと思うのですが、どうでしょう(w)。

エッセイの残り1本は、リック・ゲゴスキーの稀覯本に関するエッセイ集『トールキンのガウン』から、ナボコフの「ロリータ」について書いた章を抜き出して翻訳掲載。なかなか興味深いエピソードが書かれています。でもこれ、ミステリとまったく関係ないんですけど……? リック・ゲゴスキーとは何者かを書いた紹介文には、“本の世界のビル・ブライソン”と異名をとる風雲児、とありますが、誰がそんなことを言ってるんでしょう。ノンフィクション作家で随筆家で、編集や出版にも携わっていたブライソンは、本の世界の人じゃないんでしょうか?

そして、ページの無駄遣いになっているのがモンティ・パイソンのコーナー。これ、雑誌のページレイアウトは経験あっても、広告を手がけたことがないデザイナー(か、デザインができると思っているタダの素人)がやっつけ仕事で作ったような出来映えなんです。私が編集長なら、『プロとして恥ずかしくないデザインの大原則』(MdN刊)あたりを読んでやり直せ!と言っちゃうでしょう。たぶん、それに対するデザイナーのイイワケも想像できます。「だって、原本の通りにレイアウトしただけですもん」とかなんとか。

いいかげんにして欲しいチャンドラー新訳シリーズは、今月もまだ継続。旧邦題『殺しに鶏のまねは通用しない』(清水俊二訳)や『うぬぼれた殺人』(稲葉明雄訳)を改め、『スマートアレック・キル』ですって。『ロング・グッドバイ』もそうですが、新訳ってのは訳さないって意味なんでしょうか、三川基好さん。ミもフタもない言い方をするなら、チャンドラーの新訳なんて、中学生レヴェルの英語力しかない人でも、旧訳を参考にすればできる仕事じゃないですか。ならばそれなりの筆力とか新しい視点とかがあってしかるべきだと思うのですが、それは原題をカタカナ表記にする程度のことなんでしょうか。

今号から、山田正紀の『ファイナル・オペラ 呪能殺人事件』が連載スタート。池井戸潤の『藤村巴里日記』と併せて、これで日本人作家の長編連載が2本になってしまいました。長編を連載するのは、継続読者を増やして部数を安定させるという意味では仕方ないのかもしれませんが、あとで100パーセント間違いなく単行本化される日本人作家の連載は、1本にとどめておいて欲しいんですが。フィリップ・マクドナルドの『迷路』とかヘイク・タルボットの『魔の淵』みたいに、『ミステリマガジン』に連載したあと20年近くも放置してから単行本にする、というのも極端ですけど。

『ファイナル・オペラ』は例のシリーズの第3部ということですが、山田正紀は『SFマガジン』の長編連載もまだ完結してないのに大丈夫なんでしょうか。だんだん面白くなくなっているような気がするんですが……大きなお世話か。予告を見ると、次号からは浅暮三文の長編連載も始まるようで、日本作家増加傾向に歯止めが掛かりません。

こんな弱小ブログで何を書いてもせんないですが、『ミステリマガジン』の編集部のみなさんにはこう言いたい。「特集企画なんて、定番のものを1〜2年サイクルで繰り返していればいい。質の高い作品を掲載してくれさえすれば、マンネリだなんて誰も言わないから。エラリイ・クイーンが『ミステリ・リーグ』や『EQMM』を創刊したときの志を思い出して欲しい」。でないと、定期購読やめちゃうぞ。

※この記事はブログ村 ミステリー・推理小説にエントリーしています。

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