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zoom RSS 推理の一問題……『新プー舎事件』

<<   作成日時 : 2008/01/21 23:51   >>

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なぜかアクセス数だけは多い「推理の一問題」シリーズ第5弾です(w)。おひまならおつき合いください。今回も時事ネタっぽくなっております。

『新プー舎事件』……【問題編】

「自分の本を出したい」という夢を持っている人々に対し、詐欺としか言いようのない手法でアプローチしたあげく、契約が成立すると法外な追加料金を請求したり、契約条件を全く守らなかったりと、インチキな自費出版ビジネスを繰り返して急成長した出版社があった。当初は地方史や地方文化の研究家をターゲットにしていることが多く、「方言する人の出版社」などというキャッチフレーズを掲げていた。

このインチキ商法に引っかかった被害者たちは大金を失っただけでなく、マニュアル通りのベタボメトークに自尊心をくすぐられて「俺にはすごい文才がある」と思いこみ、作家専業を夢見て自ら職を離れ、プー太郎になってしまうケースが多かった。新しいプーを次々に産み出すシステムになっているため、この会社は業界で「新プー舎」と呼ばれていた。

一時は大きな成功を収め、自費出版業界では全盛を誇った新プー舎であったが、おごれるものは久しからず。ついに破綻の時を迎え、民事再生法を申請したが、あまりに悪い内情が露呈するや、支援を検討していた企業は手を引き、やがて自己破産の憂き目にあった。しかし、それはこの事件の一面でしかなかったのである。

この商法に深く関わっていた、新プー舎のある幹部社員が、“アート商法”と呼ばれる新たなインチキビジネスの会社に移籍するよう勧誘され、移籍の手みやげとして顧客データを流そうとしていることが、当局の内偵で判明したのだ。

アート商法とは、団塊以上の世代や、アーティスト志向が強い若い世代を主なターゲットにしたもの。短歌や川柳、詩、俳句、イラストや絵画などの展示会を開くと称して作品を公募し、応募してきた人々から作品の管理料、運搬料、広告料、保険料、寄付金など、さまざまな名目でカネを取るのである。

しかもそれだけではない。この商法には次の段階があり、「たまたま展示会であなたの作品を見た、有名な教授が絶賛している」とか、「海外の研究家の目にとまった」などと巧みにおだてて、俳句や短歌などの文芸作品なら書籍に、絵画やイラストなら画集などにすると持ちかける。被害者がそれに応じ、書籍が出版されるとそれをまたイベントなどに展示して、さらにカネを搾り取るのだ。

この商法でも、他のいろんな悪徳商法と同じで、いったん他社で引っかかった被害者が、カモとされて別の業者に騙されるケースが多い。「ウチは新プー舎さんとは違いますよ」というような営業トークに、またもコロリと騙されてしまうカモの、なんと多いことか。そのため、顧客のデータは“カモリスト”などと呼ばれ、業者間では高額で取り引きされる。だが新プー舎の場合、顧客データは厳重に管理されており、社外に持ち出すことは禁じられていた。

社長がアナログ人間であるため、顧客データの入ったパソコンはネットワークに接続されておらず、完全にスタンドアロンで使用されている。したがって、外部のコンピュータからクラッキングして、不正にデータを引き出すことができないのだ。古典的なスタイルが、最強のセキュリティになっているという、皮肉な例であった。

しかし、疑惑の幹部社員は、社長の留守を狙ってデータを少しずつプリントアウトし、社長室に隣接する小さな資料室内の古い書類ケースの中に溜め込んでいたのである。資料室には、この幹部社員以外でも入ることはできたが、ほとんど使われていなかった。そこまでは判明していたのだが……。

「社長のパソコンに外部からアクセスすることができなくても、プリントアウトできるくらいなら、小さなフラッシュメモリなんかにコピーすることは可能なんじゃないか?」
「いや、その点は社長も警戒していて、顧客データのファイルはコピーできないように細工されていたんです。だからこそ、ヤツは少しずつプリントアウトするしかなかったんですよ」
「でも、そのプリントしたものを持ち出すことができなかったはずだって?」
「そうです。社長は経営状態が悪化しはじめて以来、猜疑心の塊みたいになっていて、社外に持ち出すすべての書類をチェックさせていたんですよ。だから、プリントアウトしたものを、そのまま外部の人間に渡すことはできなかったでしょう」
「プリントアウトをシュレッダーにかけて、ゴミとして出した上、あとで誰かが回収してつなぎ合わせたとか」
「もちろん、その線も調べました。シロでしたよ」
「だけど実際には、すべての顧客データが例のアート商法会社の手に渡っていたわけだな」

内偵を開始してから、疑惑の幹部社員には常に、当局の監視の目がついていた。彼がアート商法の会社から勧誘されたことを当局が把握しているのも、そのためである。彼の通話は盗聴され、メールや郵便物、宅配便などもすべてチェックされていたので、仮にプリントアウトされた顧客データを社外に持ち出せたとしても、他人に手渡したり送ったりすることはできなかったのだ。

「社長のパソコンの、コピー防止の細工とやらをヤツが何とか解除して、やっぱりコピーしていたってんじゃないだろうな」
「とんでもない。ヤツは社長同様のアナログ人間でしてね。自宅にパソコンすら持ってないんです。そんなハッカーみたいなマネはできませんよ」
「では、ハッカーを連れ込んでやらせたとか」
「それも無理です。外から入ってくる人間はすべてチェックしました。怪しいヤツはいません」
「ヤツの普段の行動は?」
「いたって普通ですよ。独身なんで食事は外食が多いようですが、レストランなんかで誰かに接触した形跡もありません。それに、ヤツが行く店は食べ物屋に限らず、コンビニ、スーパーからレンタルビデオ屋にいたるまで、バイト店員まですべて調べたんです。例の会社の関係者はいませんでした」

結局、整理すると2つの謎が残ったわけである。プリントアウトした顧客データを、どうやって外部に持ち出したのか。そして、そのデータを新会社の人間にどうやって渡したのか。

さて、犯人はいったい、どんな方法でデータを漏洩したのでしょう。
おひまな方は、どうぞその手段を考えてみてください。回答編は、一週間後、コメント欄にて発表します。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
お元気ですか〜?
今回の問題も難しいのでもう少し考えさせて下さい〜と言いに来たら、更新されていないのでびっくりしてます。
もしや、風邪でも?
お体には気を付けて下さいね
ニコ
2008/01/29 19:10
ご心配かけてすみません。いやあ、こんな心配してくださるのは、ニコさんぐらいだなあ。ありがとうございます。
1月28日の記事「鉄道通勤、始めました」のところに書いたような事情で、ちょっとペースが狂ってるんです。
解答の公開は、もう少し先に延ばしますね。
ゆっくり考えてみてください。
のちんかん
2008/01/30 01:18
ニコです。お元気ですか〜?
お忙しいんでしょうね。ずっとほ、ほ、ほうちプレイ・・・。
いくら考えても解らないので、くやしいけどあきらめます・・・。
携帯のカメラで撮影して持ち出したのかとおもったですが、そのあとが見当もつきません。
ニコ
2008/02/24 12:14
ごめんなさい。
この問題、アップしたことをすっかり忘れてました(w)。

元気なんですが、ちょっとモチベーションが低下気味だったようです。
ご心配くださってありがとう。
では、解答編は近いうちに公開しますね。
のちんかん
2008/02/26 14:06

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